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- 2016.06.02
- 病気予防セミナーについて-4
粘液の役目
粘膜の役目は、浸透圧調整や水の抵抗を抑えて泳ぎやすく働きもありますが、
それ以外に次のような重要な働きがあります。
粘膜に付いた病原菌を固めたりしてくれるレクチン、病原菌を溶かして流して
くれるリゾチームという成分を出す役目もあります。
水質が悪いと鯉の体調が良くないので、良くない粘液を出してしまいます。
水っぽくて量が少ない。
これが鯉のツヤに影響しているものと思われます。
ちなみに人間の皮膚のpHは、弱酸性ですのでアルカリ性の石鹸を使うと肌が
荒れます。
鯉などの魚類もこのpHに非常に敏感でpHが、1違えば酸性度は10倍違いますし
もしpHが2違えば100倍も違います。致命傷になりかねません。
ですからpHは、非常に大事です。
ついでに水温についても鯉は、1度違えば3~5度感じます。
我々が、お風呂に入る時に人によって違いますが、1~2度の微妙な温度を肌で
感じる事が出来ますよね!
それと同じです。
これらもストレスに繋がります。
コンクリート池で発生する白い泡は、古い粘膜や食べ残しの餌、魚の排泄物から
溶け出したものです。
このように自然界でもコンクリート池においても眼には見えないですがバクテリアの
活躍によりタンパク質も分解されて綺麗に保たれています。
最後に
昨年11月30日~12月1日に開催されました第41回関東甲信越総合錦鯉品評会
において群馬県森尻様所有の大正三色(さんしょく)が、見事全体総合優勝に
輝きました。
この鯉は、二才時58cmで購入され、その後自宅泉水池(バイオスポンジを設置、
Bacto Powerを定期的に使用)で飼育され四才時には83cmまで成長し色艶共に
綺麗に仕上がりました。
冬場ボイラーは使用されていますが、水温20℃に保たれ、一度も野池飼育の経験もありません。
そして購入後2年間薬品は一切使用されていません。
私は熱帯魚業界で35年経験がありますが、「ディスカス」という魚がいまして
特に原種といわれるワイルドディスカスは、特にこの水質にうるさくて。
彼らの好む水質に水を調整してあげると輝く宝石のような魚になります。
しかしもし水質が合わないと途端に色が退色して黒っぽくなります。
「鯉は熱帯魚と違う」といわれる方がおられますが、金魚も同じことが言えますし
犬の毛並みも栄養、運動、住む環境に左右されます。
人間も寝不足が続くと肌が荒れるといわれます。
生き物全てがこの環境により健康を維持出来るか、出来ないかが決まります。
最近業者の方からも1年近くも薬品は投与していないと嬉しい報告が私の耳に
入ります。
エサ喰い抜群で成長も早いし色艶も完璧だそうです。
親から受け継いだDNAを発揮させる事が出来るのは良好な環境と水質です。
従いまして鯉の体形、色艶を決めるのはこの環境と水質といえます。
その環境と水質の決め手が「ろ過材」と「バクテリア」です。
自分の泉水池は、大型掃除機、病原菌製造工場なのか?
それとも成長促進、病気になりにくいろ過システムなのか?
ここから見極めていけばおのずと病気予防につながり素晴らしい鯉の成長が
望めると私は確信しています。