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- 2016.05.13
- 病気予防セミナーについて-1
2014年2月1日 第45回全日本総合錦鯉品評会(東京流通センター)において
講演した「病気予防セミナー」についてご報告いたします。
Shinsuke Co.,LTD.の山村です。
説明に入る前に2014年1月8日付の読売新聞の報道記事をお話いたします。
財務省貿易統計によりますと錦鯉の輸出は10年前の1.8倍に伸び 大体年間25億円輸出されているそうです。
一方国内市場に目を向けますと私も各地で開催される展示会でブースを出していますと一般ユーザーから
「いくら良い鯉を購入しても一年もしたら鯉の色艶が落ちる」と言われたりある人は「春に¥10万で購入した鯉が秋には¥5万の価値になるから良い鯉 は買えない」と多くの方から言われました。
その多くの人の飼育環境を聞きましたらやはりろ過に対する認識の低さでした。
気に入った鯉を購入してそれが自分の池ですくすく綺麗になっていく様子を観察する事が本来の鯉の楽しみでもあり癒しではないかと思います。
鯉も我々人間同様に生き物ですから最適な環境、水質が必要です。
この点を改善できたら日本国内市場も盛り上がって来るのではないかと感じております。
今からお話しする内容もこのろ過に関係するものです。
ろ過機能アップすることにより水質環境が良くなります。
即ち病気予防に繋がると思います。
さてそれでは、病気予防のための環境、水質について説明していきます。
誰しも鯉を病気にさせたくないという思いで飼育管理されておられると思いますが鯉も生き物ですから病気になる事はあります。
では病気になる確率を如何にして下げるかというテーマで説明していきます。
ろ過とは、大きく分けて「物理ろ過」「化学的ろ過」「生物ろ過」の3つになります。
今回はこの内「物理ろ過」「生物ろ過」について説明いたします。
ちなみに「化学的ろ過」とは、活性炭などによる色の吸着と考えてください。
「物理ろ過」は、ゴミをためる。
「生物ろ過」は、ゴミを分解する。
「ためて」「分解する」「ためて」「分解する」と考えてください。
まず最初に「物理ろ過」から説明していきます。
【物理ろ過】
閉鎖されたコンクリート池を閉鎖された部屋に置き換えて説明していきます。
私もそうですが水の中で生活した経験が無いので鯉がどのような環境で生活しているか疑似体験していただくために6畳間に家族4人が生活していると仮定します。
その部屋は窓という窓は全て閉められ入り口も封鎖されたと想像してください。
栄養のバランスに配慮された食事は一日3度外部よりこの部屋に運ばれます。
しかしゴミ箱、トイレが無いので床に垂れ流しです。
即ち食事の食べ残しも我々の排泄物も床にばら撒かれたと想像してください。
ただし24時間稼動している大型掃除機がありますので床に溜まった食べ残し、排泄物を吸う事は出来ます。
確かに床は綺麗に成っていきますが、掃除機に溜め込んだ残飯、汚物から強烈な臭いが部屋全体に立ち込めています。
いわゆる「ヘドロ」です。
想像するだけで息苦しくなるし早くこの部屋から出たいと誰もが思う事でしょう。
まさしくこの状況が、ろ過機能を果たしていないコンクリート池です。
いわゆる「物理ろ過」しか出来ないろ過方法です。
溜めるだけです。
このような環境で食欲が湧いて来るでしょうか?
充分な睡眠が取れるでしょうか?
呼吸がまともに出来るでしょうか?
日々相当なストレスが溜まってきます。
免疫力が落ちてくるから病気になるのは当たり前です。
ましてやこの環境、水質で薬品を使用するのは本当に危険です。
度重なる薬品投与によりエラは損傷を受けそれが原因で突然死に至るケースもあります。
例えが悪いですが、喘息患者のいる部屋でバルサンを焚くのと同じです。
泉水池の水に浮遊しているゴミが、無くなっただけで人間が喜んでいるだけです。
ただ単に「見た目」だけです。
鯉にとっては水質は、ドンドン悪くなり苦しいだけです。
以上が物理ろ過まさしく「大型掃除機」です。
健康に良い環境とは決して言えません。
でも実際には、こんな環境で暮らしている鯉もいます。
こんな環境では、餌食いも悪くなりますので綺麗な大きい鯉の成育は難しいと思います。
親から譲り受けたDNAを発揮する事も非常に難しいと思います。
ろ過という設備が各コンクリート池に付属されているとは思いますが、しかし
水質浄化機能を果していないろ過が多く見受けられます。
大型掃除機は、本来の目的であるごみを溜めるという「物理ろ過」の役目は果しています。