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- 2015.11.05
- 成長阻害-1
水中で生活した経験が無い人間は、水中で生活している鯉が感じている事は分りません。
ただし簡単な水質テスターである程度は把握する事は出来ます。
今回は鯉が水中で生活して行く上で体調を落とす要因について説明していきます。
少し詳しく言うと下記の要因すべて影響を受けます。
1,水質
化学的性質・・・イオン 分子 ガス 固体
物理的性質・・・密度 水温 光
2,水質分析
水温・・・季節変動、日周期変動、水替え時の変動,購入時に発生する鯉の移動時(業者からの購入
時における変動)
水質・・・pHとRpH 総硬度、炭酸塩硬度 Mg,Ca アルカリ度、酸化還元電位
電気伝導度、COD
窒素濃度 硫黄濃度、リン濃度・・・・固形物、浮遊懸濁物、溶解物、イオン、気体
溶存気体(特に酸素、二酸化炭素)
特に鯉飼育者の多くが直面する事柄について説明していきます。
影響を受けると言う事は、イコール成長阻害に繋がります。
成長を阻害されると色艶にも影響が出てきます。
それでは成長阻害と題して4回に分けて説明していきます。
成長阻害
1. アンモニアの発生
2. 亜硝酸塩の発生
3. 硝酸塩の蓄積(PH低下含む)
4. 水質の急変(PHショック)
1.アンモニアの発生
魚の中でも我々に最も馴染みの深い硬骨魚類は体の中で生じたアンモニアを直ちにエラから水中に溶かし出してしまいます。
彼らは、アンモニアの80%をエラから、残り20%を尿から排出すると言われています。
アンモニアは水に非常によく溶けるので、水中で暮らす生き物にとっては最良の方法と言えるでしょう。
だが水中のpHが、高ければアンモニアはとても有害なものです。
pHが酸性水質であれば無害(害は比較的低い)。
pHがアルカリ水質であれば有害。
ただし酸性水質であれば無害といってもいつアルカリ性に水質が変化するかわからないのでロカザイの材質とバクテリアには絶えず注意が必要です。
理想的なアンモニア濃度は、極限に0mg/lに近い値といわれています。
これ以上の濃度になると「呼吸困難」「眼の白濁」「遊泳困難」「池の底に横たわる」などの症状が現れます。
このような環境化においては、魚は非常に病気になりやすく、最悪死亡する場合もあります。
このようにアンモニア蓄積により順調な成長を阻害される原因にもなりますし肌に対する影響により色、つやにも悪影響を及ぼします。
「鯉は少々アンモニアがあっても大丈夫」とか「鯉はそんなに弱くない」との声を聞くことがありますが、これはアンモニアに対する有毒性を理解されていない方の考え方です。
例えれば子供さんのそばで一日中プカプカとタバコを吸っているようなものです。
そんなことをすると子供さんは、副流煙を吸い込む受動喫煙により様々な有害物質を多く含んでいるのでその影響は肺がん、喘息などの呼吸器障害、心筋梗塞などにまで及ぶ可能性が非常に高くなります。
アンモニアとタバコの有害物質は違うと思われる方がおられると思いますが、端的に言えばアンモニア濃度にもよりますが、数百倍危険性が高い事を頭に入れておいて下さい。
pHが高い場合には、簡単に鯉は死亡します。
今後は池の水面に白い泡が立つのを見かけたら「もしかしたらアンモニア濃度が高くなっている」とイメージして下さい。
あるいは「子供さんが受動喫煙状態で危険」とイメージして下さい。