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- 2015.09.25
- バイオスポンジについて
鯉業界の友人から鯉飼育において「アンモニア、亜硝酸塩が出て困っているので
相談に乗ってくれないか?」と話があり試行錯誤を重ねて「バイオスポンジ」を
開発いたしました。
鯉を飼育されているお宅に訪問するとビニロック、ブラシ状ロカザイなどで
ろ過されている方がほとんどでした。
私の経験では、ビニロック、ブラシは主に物理ロカが基本で生物ロカは出来ないとの
確信がありましたので早速資材を各種取り寄せて検討した結果「オリジナル特殊親水性
ウレタン」を採用する事に決定いたしまた。
従来の親水性ウレタンでは、満足いかない点がありましたので原料に特殊な成分を
混合させてバイオスポンジのベースを作り上げました。
バイオスポンジの材質は、水になじみやすく(物の表面に水が薄く広がるなどの性質を
持つこと)表面に水と親しみやすい材質のために有機物を含んだ水が、停滞しやすい
(停滞する時間が長ければバクテリが有機物を分解する時間に余裕が出来る)
一方ビニロック、ブラシなどは、特に使い始めの新しい時には水をはじくので
有機物を含んだ水が停滞しにくくあっという間に流れていきますし何より
バクテリアの住処にはなりません。
ビニロック、ブラシの本来の目的は、枯葉、エサの残り、鯉の糞などを一時的に
溜めて置く為だけのロカザイです。
ロカで一番重要な生物ロカが、活性しづらいロカザイです。
「バイオスポンジ」は、ヘチマと同じような構造で出来ておりその入り組んだ中を
有機物を含んだ水がタラタラと流れていきますので時間を稼ぐ事が出来るので
その間にバクテリアにより有機物、アンモニア、亜硝酸塩を分解出来るのです。
「バイオスポンジ」は、バイオフィルム理論に基づいて開発されました。
バイオフィルム(菌膜 Biofilm)とは、微生物により形成される構造体。
バクテリア達が、住む住居の集まり⇒住宅地、巨大マンション群のイメージ
バイオフィルムとは何か?
身近な例としては、歯の上に付いたプラーク、川の石の上のぬるぬるしたスライム、
花を1週間活けておいた花瓶の内部のゲル上の薄膜などである。
自然界にも広く存在し、基質と水があればあらゆる場所に存在しています。
地球環境の大部分は浮遊細菌ではなくバイオフィルムを作って生活しています。
細菌の99%以上はバイオフィルム社会に住んでいます。
汚水処理プラントにおいても水から汚染物を除去するためにバイオフィルムに依存
しています。
細菌と言えば病原菌などを連想される方が、多いと思われますが水を浄化してくれて
いる「バクテリア」も細菌の一種です。
バイオフィルム形成の基質に最適なものが「バイオスポンジ」です。
水質を良好に保つためには、バクテリア+良質なロカザイ(バクテリアの最適な
住処を作る事)です。
例えば不適切なロカザイを使用した場合に多く見られるのが病気の多発です。
鯉が、病気になる理由はやはり人間と一緒で急激な環境変化、劣悪環境での生活、
汚れた水質での生活等が上げられます。
一般的に、エロモナス病は伝染するものと言われていますが、本当のことでしょうか?
私の個人的な見解では、エロモナス菌とカラムナリス菌は水槽内の常在菌で有り、
水槽内の生態系のバランスが崩れたときや免疫力が落ちたときに猛威を振るうものと
考えています。
人間の風邪などの病もおなじですね!
多くの場合、複数のストレスが池内で同期した際に発症する事が多く、コイの稚魚
など体力の無い個体は発病したら最後、死に至ることがほとんどです。
考えられる一般的な病気発症の原因としては
1.飼育水が適応水質ではない。
2.飼育者の見当違いの飼育法によるもの。
3.急激な水質変化(いわゆるpHショック)による発病(野池から泉水池に移動した
場合等)
4.アミですくわれたことにより粘膜がはがれた時。
対処法としては
A. コイにとって最良の水質の水(充分にバクテリアの活性した、魚にとっての良質な
水)をキープする
B. 池のキャパシティーに見合ったロカ器とロ材を使用し、水換えは最低限のスパンで
水質を維持出来るようにする。
C. コイの移動時には、必ずSkin Water(粘膜保護剤)を使用する。
エロモナス、カラムナリス両病とも、持ち込む病気ではなく移動、水換え等の環境の
急変により二次的に発病するものなのでいずれにしても、池やロカ器のキャパシティー
に見合った魚数や適正環境の維持さえ良好に行われていれば病気の発症は頻繁に起きる
ものではないはずです。
話す事の出来ない魚の悲鳴を出来るだけ聞いてやらなければなりませんね!
最後にバイオスポンジとビニロックの相違点をまとめます。
(1) 通水性
見た目で分るようにビニロックは水が素通りする。
バイオスポンジは滞留機能性に優れている。
(2) 表面積
メーカー、商品により品質、構造が違うので一概には言えないが、おおよそ
表面積は体積当たり5倍程度バイオスポンジの方が大きい。
(3) バクテリア残留性
ビニロックは、ある程度異物が堆積したときに濾過機能が上昇する。
しかし、一般的にこの時点で清掃してしまい、生物濾過を停止させる。
停止で済めばよいが一般的にバクテリア変異を来し有害物質が蓄積される
などマイナス要因が多い。
特にコイのような汚れやすい水では、硝酸塩が多くなり必然的に亜硝酸も存在して
います。
しかし、バイオスポンジに住み着いた通性嫌気性細菌が活性すれば硝酸塩濃度が
思うほど高くならず、亜硝酸はほとんど存在しなくなります。
ロカザイの掃除方法を誤れば亜硝酸塩濃度が、一気に高まり生態系崩壊に繋がります
ので小分けして洗浄するようにしてください(日にちを空けて1/3ずつ掃除)
バイオスポンジは、目がある程度細かいため数日で生物濾過活性が認められます。
【まとめ】
ビニロックは、通水性に優れているが、生物ロカの観点から言えば大した効果は
得られなく異物(枯葉、フン等)が、堆積してきて始めて生物ロカが機能し始める。
実際に実験した結果分かった事は次のようです。
A.ビニロックがきれいな状態でBacto Powerを使用した場合
池の水が多少きれいになった程度で他に変化なし。
B.ビニロック表面に茶色の苔が付着し多少のヘドロ(有機物)が付着している
状態でBacto Powerを使用した場合。
ヘドロ(有機物)表面にバクテリアが住み着き池の水の透明度が徐々に上がり
表面に付着していた苔も無くなりましたが(コケの餌であるアンモニアを
バクテリアの働きにより限りなく0mg/lに下げるため)バクテリアの住み着いて
いたヘドロ(有機物)も分解されたためにバクテリアの住処が無くなりバクテリア
も洗い流されてしまい、また池の水は元のようにドロ~ンとした水に戻りました。
C.ロカ槽のビニロックの後にバイオスポンジを設置しBacto Powerを使用した場合
設置したバイオスポンジにバクテリアが住み着きビニロックに付着していた苔、
ヘドロ(有機物)をキレイに分解してビニロックは元のようにグリーン色に戻り
ヘドロもきれいに分解されて無くなりました。
これは広島のある生産業者での実験でしたが5ケ月間にわたり水はキレイな状態を
維持し水面上の泡(たんぱく質)も現れず幸いな事に病気にも一度もなりません
でした。
すなわちビニロックは、生物ロカには適さないという事であくまでも物理ロカとして
の機能として考えれば良いでしょう。
バイオスポンジは、ロカ槽に設置後数日でバクテリアが脅威のスピードで住み着き
始め長期に渡り生物ロカ機能を発揮する。
ロカ能力(生物ロカ)で考えた場合は、ビニロックに比べて流水状態においては
数十倍の働きを見せる。
また水質悪化、酸性化に傾く働きをする硝酸塩を分解する嫌気性バクテリアも充分に
湧くスペースも持ち合わせています。
交互にバイオスポンジを清掃出来るために生物ロカを維持管理しやすいといえます。
すなわちバイオスポンジは、清掃が簡単で生物ロカ期間が長く維持管理しやすいと
いえます。
ビニロック=粗ゴミを一時的に溜めて置くロカザイ。
バイオスポンジ=長期に渡り(実験では現在6ケ月目ですが、一度も掃除はして
おりません。ただしこれも諸条件、諸状況によります。)目詰まりすることなく
効率的にバクテリアの住処になります。
是非とも「Bacto Power」と「バイオスポンジ」をセットで使用されることを
希望いたします。
またバイオスポンジの使用量は1トンに付1~2袋となっていますが、1トンに付5袋
とか6袋と多目に使用された方がバクテリアの住処が増えますので水質もより安定
します。