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- 2021.11.12
- ドイツアクアリウム洋書で学んだ事-21
人間の五感で水質を知り得ることは不可能です。
ある程度の事は分かりますが、根本的には絶対無理です。
こういう私もドイツの書物に会わなければこの「水質の世界」を知らずに
ビジネスをしていたかと思うとぞっとします。
40年以上前にアンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩、pH,KH,GH、導電率などの
言葉は別世界の事でした。
錦鯉の業界でも別世界と思われている方が多く見受けられます。
品評会会場でも一般ユーザーから信じられない質問を多く受けます。
今回も厳しく書きましたが、今後の錦鯉業界発展のためには必ず必要な事です。
池の水が悪化した時に起こりやすい障害を説明していきます。
汚れる原因についても簡単に説明していきます。
アンモニア(NH³)
アンモニアは神経毒で粘膜を傷め特にエラや腸に障害を起こさせます。
赤血球は小さくなったりして変形します。
体内外の組織からは出血が生じます。
徴候としては鼻上げや早い呼吸あるいは不規則な呼吸となります。
アンモニアの毒性は酸素が少なかったり二酸化炭素が多い時に現れ錦鯉は
やがて死んでいきます。
酸素が少ないと「生物ろ過(バクテリアによる硝化作用)」が機能しにくい
状態になります。
それはバクテリアが有機物(エサや糞など)を分解する際に酸素を必要と
するからです。
分かりやすく言えば池の水が酸欠となり一匹づつ死んでいくのと同じことです。
バクテリアも酸欠で徐々に数を減らし死んでいくのです。
アンモニアの毒性はアルカリ性の時に現れます。
酸性の時は「アンモニウム」となり害はありません。
しかし酸性だから大丈夫と考えないでください。
アンモニアとアンモニウムの総量を減らさなければなりません。
そうでないと水換えをすれば多くの池ではアルカリ性になります。
地下水(日本)であってもアルカリ性になります。
海外の地下水はほとんど知りませんので説明出来ないので割愛いたします。
タイのバンコクで世界へ向けて熱帯魚を輸出する際にはビニール袋の水は必ず
pH6.8位に調整してパッキングしていました。
こうすれば郵送中のアンモニア中毒を防止出来るからです。
眼で見てアンモニア濃度を知ることは出来ません。
pHを知る事も出来ません。
GHも知ることも出来ません。
水温だけは五感を駆使すれば大体の水温は分かる事でしょう。
しかし池の水が透明であれば錦鯉が今現在アンモニア中毒である事を知る事は
出来ないでしょう。