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2021.09.10
ドイツアクアリウム洋書で学んだ事-12

Shinsuke-Mineral-Plus

熱帯魚研究者は、ヨーロッパにはたくさんいます。
そして多くの学術書などの書物があります。
これらの学者が書いた文章を紹介します。
あくまでも40年前の事ですけど環境要因が魚類にどのように影響を与えるかの
テーマについては多くは語られなかった。
この書物には「アンモニア量は魚の攻撃性を高めるのか?」というテーマで簡単に
書かれていました。

それは「シクリッド」と呼ばれている攻撃性の強い魚種を行動学の立場から見た
環境要因による行動でした。
一日のある時間帯において30分間の2匹のケンカ(追いまわし、噛みつきなど)
を定期的に観測しその後すぐに水質を調べたそうです。
アンモニウムイオン(NH4)の量がいずれの場合でも行動に影響が出ていたようです。
アンモニア(NH3)ではなくてアンモニウム(NH4)であることはpHが酸性値で
あることを示しています。

従ってアンモニウム数値が高くても魚には害はありません。
もし水が酸性からアルカリ性に傾きpH7.0から上がると例えばpH7.2になると
急激に毒性を増すのです。
ですから錦鯉の池にカキガラを使用することは相当危険性が高いという事です。

話がそれましたが無害であるアンモニウムでさえ2.0mg/lを越えると2匹の間
でのケンカが増えたそうです。
そして更にアンモニアの数値を上げたらシクリッドの戦闘意欲が減少したそうです。
ケンカが増えた原因はアンモニウムを感じた「ストレス」によるものと私は思います。
また戦闘意欲が減少したのは生命危機の「不安」によるものと思います。

確かにアルカリ性になるとアンモニウムが危険なアンモニアになる事はシクリッド
の「DNA」にインプットされていると思うからなのです。
同じ自然界に生きているのに人間の危機管理能力はかなり落ちてきているのかも
しれません。
自然界で生きている動植物はそれこそ自分の身は自分で守るとしかありませんから。
「DNA」が確かに受け継がれているのでしょう。
人間は徐々にこの点は退化しつつあるのかもしれません。

しかし水質が魚の行動に影響を及ぶすという発想自体が素晴らしい事であると改めて
敬服します。
錦鯉でも水質が艶テリ、色合い、体の成長に多いに影響があります。
業者さんにこの話をしたら鼻で笑われたことがありました。
心の中ではこの方が水質に興味を持たれたら日本の錦鯉は更に良くなるとは確信
しました。

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